3連敗しない阪神だ。優勝決定後の「モチベーション問題」があるかどうかは分からないが、この試合に負ければ「交流戦7連敗」以来の3連敗になるところだった。だが、そこで負けないのが今季である。
負けるどころか主砲・佐藤輝明が2発、5打点をマークするなど中日を圧倒する試合運び。相変わらず甲子園に詰めかけた満員のファンはいいモノを見た気分で帰宅できたはずだ。
そんな派手な試合展開の中、指揮官・藤川球児は着々とCSへ向けての準備を整えているとみた。先発ネルソンから伊原陵人というリレーも、ネルソンが5回を投げているのでいわゆる「ブルペンデー」ではないはず。ここで詳しくは書かないが短期決戦に向け、いろいろなことを想定し、試しているのだと思う。
「これもそうかな」と思うことがあった。木浪聖也の代打から遊撃守備だ。6回、スタメン遊撃の熊谷敬宥のところで木浪が代打に立った。結果は空振り三振。チェンジになり、木浪は7回表の遊撃守備につく。
「代打いたしました木浪がそのまま入り、ショート。8番ショート木浪」-。アナウンスが流れるとスタンドから拍手、歓声が沸いた。この場面でこんな反応が起こる選手も、まあ、めずらしい。今季は途中から控えに甘んじているが人気を示す場面だった。
だが人気の話ではない。開幕当初はスタメンで始まった木浪だが打撃の不調、守備の乱れなどで、昨季までの正遊撃手の座を下り、小幡竜平や熊谷敬宥とポジションを争う立場になっているのは事実だ。
そんな木浪が遊撃手の代打に出て、遊撃守備につくのはこれが今季初めて。これまで23度の代打はすべて投手か捕手のところだった。代打から守備につくのも4月30日の中日戦以来、今季2度目。それがどうしたと言われればそれまでなのだが、ここに来て存在感を示している気配だ。
「きょうはきょうとして、出してもらったところで頑張れるように準備をしておくだけです」。代打で三振、2度目に回った8回の打席でも快音は出なかった木浪はそんな話をした。
小幡がファーム調整中。熊谷も守備はいいが打撃は少し不調気味か。なにより木浪が有利なのは「日本一メンバー」としての経験があることだろう。CSは木浪か-。相手との兼ね合いもあるし、分からないけれど、そんな気もしている。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




