夏の主役に異常発生だ。最速152キロ右腕の県岐阜商・高橋純平投手(3年)が、2試合連続で全国高校野球選手権大会(8月6日開幕、甲子園)岐阜大会を欠場した。チームは延長10回サヨナラ勝ちで4回戦に進出したが、接戦にもかかわらず、エースは登板の準備もしなかった。試合後、体調面、技術面のバランスを欠いた状態にあることを初めて明かした。2試合後、20日に予定される準々決勝に照準を合わせているとみられるが、ベストには程遠い状態で戦っていく可能性が高い。

 背番号1はサヨナラの瞬間、ベンチを笑顔で飛び出し整列の先頭に立った。「いつも通りにやれば勝てると思っていました。村居も岩井もしっかり投げているので任せられます」。主将は素直に勝利を喜んだ。

 強豪・関商工を延長10回の激闘の末に下した。それでも、エースに出番はなかった。初戦の2回戦に続いてブルペンにも入らず、今回は練習時も試合中もキャッチボールすらしなかった。試合後に監督と本人が初めて状態を明かした。

 小川信和監督 調子がよくない。何とか次週に間に合うように調整させたい。体調管理を含めて、全体的に無理をさせられない(状態)。何とかしないと、と思っています。

 前回5日は「まったく問題ない」と断定していた。故障箇所などについては伏せながら、エースが異変を抱えていることを認めた。

 高橋 調子は徐々に、という感じです。(課題は)全体のバランスです。(体調と技術の)どちらも含めてフォームが崩れている。崩れているバランスをしっかり整えて、次に戻れるようにしたい。来週? 大丈夫だと思います。

 6月14日の練習試合を最後に対外試合に投げていない。同20日の抽選時には「球速にこだわりはない。130キロ台でも打たせてとれればいい。ほかにもいい投手がいる」と球速より勝利優先を強調していた。

 6月から故障を不安視する声はあった。今秋ドラフトの目玉とあって、プロのスカウトは心配そうに見守っている。あるスカウトは「指のマメではないか」と話せば、「(以前)一塁を駆け抜けたとき、左太もも裏を痛めたのでは」と言うスカウトもいる。爪が割れた、脚を痛めたなど、スカウト間でも臆測が乱れ飛ぶ。この日も日本ハムを除く11球団22人が、集まった。負ければ高校野球が終わってしまう大接戦でも、キャッチボールができない現状に「来週も投球は難しいのではないか」とスカウトの不安は尽きない。

 次戦は19日、勝てば次は2連戦になる20日、下馬評通りなら優勝候補の中京とぶつかる大一番。高橋の照準は20日とみられる。世代NO・1右腕はマウンドに立てるのか。動向が注目される。【柏原誠】

<高橋純平のセンバツからの経過>

 ◆センバツ 初の甲子園にエースで登場。松商学園戦は1失点完投、近江戦は完封、準々決勝の浦和学院戦は8回5失点で敗戦。ベスト8。150キロも計測。

 ◆登板 6月上旬~中旬の練習試合には万全の状態で投げており、6月14日の奈良大付との練習試合で6回を投げたのが最後の実戦になった。

 ◆抽選会 6月20日の岐阜大会抽選会に主将として出席。現在の調整法について「投げ込む週と、投げずに走り込む週に分けている」と夏に向けたスタミナ強化策を明かしていた。

 ◆岐阜大会 夏の県大会初戦の5日・本巣松陽戦は欠場。軽いキャッチボールの相手を務めただけだったが「問題ない。ピンチになれば投げる準備はできていた」と話した。