春の友は夏の敵-。第99回全国高校野球選手権大会の鹿児島大会が開幕し、部員10人で昨夏以来の単独出場となった市来農芸が延長12回、7-6のサヨナラ勝ちで鹿児島第一との元連合チーム対決を制した。
6-6で迎えた延長12回。1死満塁で2番・黒田颯遊撃手(3年)がフルカウントから「気持ちで負けないようにした」と狙った直球を打ちサヨナラの中犠飛に。両チームに足がつる選手も続出する激闘に終止符が打たれた。
市来農芸は、昨秋から部員が6人しかおらず同じく部員不足の鹿児島第一、川薩清修館と3校連合チームを組んできた。だが、運命のいたずらか、昨秋と3月の県大会で苦楽を共にした鹿児島第一と初戦でぶつかることになった。3校連合を監督として率いた市来農芸の草水博己部長(44)は「もうビックリ。負けたらどっちも3年生の夏を終わらせることになる。今までチームメートとして仲良くやってきたのに今日は敵ですからね」と、複雑な心境で臨んでいた。
連合チームでの練習は、3校が離れているため週末に月1回、車で約1時間のお互いのグラウンドを使う形で行った。練習時間は限られたが市来農芸の捕手、上原康平主将(3年)は「どんな苦しい場面も(鹿児島第一の)萩原主将から声をかけられて支えられた」と、キャプテンシーなどを学んだという。
実際、この日も市来農芸の守備や打撃中、鹿児島第一ベンチから「ナイスバッティング」「ナイスキャッチ」など鼓舞されていたという。鹿児島第一の捕手、萩原健士郎主将(3年)は「市来農芸はゲーム上、敵でもグラウンドではチームメートみたいにやってくれた」と、励まし合いながらのプレーに感謝。「感謝、その思いを伝えたい人の顔を1人1人思い浮かべ、選手一同元気いっぱい頑張り抜く姿を見せたいと思います」と選手宣誓した思いを両チームが体現した。【菊川光一】

