東海大市原望洋(千葉)のプロ注目エース金久保優斗(3年)が、投球のふがいなさをバットで晴らした。同点の延長10回、1死一塁から右中間へ特大の勝ち越し本塁打を放った。値千金の1発に「手応えはバッチリ! 来た球を打とうと思っていました」と、笑顔を見せた。

 打席には「取られた点は打って取り返す」と強い気持ちで立った。21日の千葉明徳戦から連投となった先発マウンドは、最悪の内容だった。最速146キロをマークしたものの、7回までに四死球11と乱調。7回途中5失点KOされ、右翼の守備に回った。打線が8、9回で同点にし、再び9回からマウンドへ。チームメートがくれた再登板では、2イニングを無失点に抑えた。

 今春のセンバツ後、腰の故障の影響もあって約2カ月はノースロー調整。その間、グラウンドで泥まみれで練習するチームメートの必死な姿を見て、「みんなと一緒に戦いたい」と気持ちを新たにしていた。不本意な投球を汚名返上する一打も、そんな執念から生まれた。再び夢見る甲子園のマウンドへ、あと2勝に迫った。【保坂淑子】