中越(新潟)の3連覇は、逆転負けで消えた。強力打線の日本文理より5本多い11安打を放ちながら、4-6で負けた。0-2から4回に追いつき、2-3の8回には4-3で一時は逆転したが、その裏。4-4で並ばれた2死一塁の場面で、左腕山田叶夢投手(2年)が川村啓真右翼手(3年)に左翼への勝ち越し2ランを浴びて力尽きた。

 三塁側の応援スタンドにあいさつした後、三塁コーチを務めた主将の川上真生捕手(3年)が、泣きながら人工芝に崩れ落ちた。抱き起こしたナインも、ベンチに戻ってくる選手も、泣いている。控え捕手ながらチームをまとめてきた川上主将は「本当に悔しい。悔いなく終われなかった」と言って、また泣いた。

 本田仁哉監督(40)は「負けたから“よくやった”はないが、力を出し切った。3連覇と、周囲に言われ続けた中で、それに立ち向かう、たくましいチームになった」と言った。先制されながら追いつき、一時は逆転したクロスゲームを最後は落とした。指揮官は「5点勝負と試合前に話したが、その5点を取れなかったのが敗因」と言った。2-3で迎えた8回。1死一、二塁から、2本のバントヒットなどで日本文理守備陣を揺さぶった。逆転に成功したがスコアは4-3。もう1点奪っていれば、最終盤には違う展開になった可能性はあった。

 スタメンには2年生が4人。0-2の2回1死二塁で、先発のエース沢中京太郎(3年)を救援した左腕・山田も2年生。「沢中さんは、もう決勝には出られない。自分が抑えて、次は甲子園で(投げて欲しい)という思いでマウンドに立った」と7回を終えるまでは被安打2。8回に2ランを浴びたが、日本文理の強力打線に被安打4の4失点(自責3)。四死球7と多かったが、厳しいコースを攻めた結果だった。本田監督は「きょうの経験を忘れずに取り返してほしい」と前を向いた。再び甲子園へ、中越の戦いは決勝敗退の瞬間から始まった。【涌井幹雄】