マウンドの東海大菅生(西東京)松本健吾投手(3年)にこんな声が飛んだ。「男になれ!」。8回1死一塁。清宮に右前打された直後、小玉佳吾主将(3年)の声だった。ゲキに応えるように、野村に真っ向挑んだ。遊→二→一と渡り、一瞬にしてピンチを脱した。「狙い通りの、最高の結果です」。松本が振り返った。

 2年前の対決で8点を失い、逆転負けした魔のイニングだった。若林弘泰監督(51)も「ちょっとよみがえりました」と話したほどだ。3年連続の決勝敗退。若林監督は年明け早々、合宿所内にあった過去の準優勝写真を外した。「あと1勝となると、意識する。決勝を甲子園で勝つ1歩にしないと」。そんな過去を、松本が力で振り払い「4度目の正直」。17年ぶり3度目の甲子園行きを決めた。

 「清宮の前に走者を出さない」「コースいっぱいを速球で攻め、フォークを有効に使う」。清宮対策がいきた3打数1安打だった。「単打はOKなんで」。試合前には、2年前のエース勝俣翔貴選手(現国際武道大)から激励され、公式戦初の完投で応えた。

 試合後は清宮から「頑張れ、勝てよ」と声を掛けられた。若林監督は「1番にするかな」とぽつり。背番号11で日大三、早実の2強を撃破した松本が、西東京代表の「背番号1」となって晴れ舞台に挑む。【米谷輝昭】

 ◆東海大菅生 1983年(昭58)に東京菅生高校として創立。89年(平元)現校名に。生徒数は1446人(女子546人)。野球部は創立と同時に創部。部員数は136人。甲子園は春3度、夏も3度目の出場。主なOBは元横浜中野渡進、ロッテ金森敬之、オリックス鈴木昂平。所在地は東京都あきる野市菅生1817。峰岸英仁校長。

◆Vへの足跡◆

3回戦3-2桐朋

4回戦12-1昭和第一学園

5回戦8-1世田谷学園

準々決勝5-0日大三

準決勝11-8日大二

決勝6-2早実