7日開幕の全国高校野球選手権に出場する藤枝明誠(静岡)が1日、甲子園球場での練習に臨み、ノックやシート打撃などで30分間、はつらつと動き回った。右腕エース久保田蒼布(そう=3年)はマウンドから直球を中心に30球以上を投げ込み、好感触を得た様子。県大会の準決勝、決勝は不本意な内容が続いたが、聖地では打たせて取る本来の投球を取り戻し、チームを勝利に導く決意だ。

 夢にまで見た甲子園のマウンドから、久保田がキレのいいボールをテンポよく投げ込んだ。10球前後で投球練習を終える学校も多い中、30球以上を投じて感触をしっかりと確認した。

 久保田 投げられるだけ投げました。マウンドも硬く、すごく投げやすくて、いい球場だと思いました。

 もともと試合前に50球以上を投げ込むなど、練習熱心で、球数を投げながら調整するタイプ。この日も直球を中心にスライダー、チェンジアップ、カットボールを投げ込み、本番へのイメージを高めた。県大会準決勝の静岡戦では13安打を浴びて9失点、同決勝の日大三島戦でも15安打で10失点と野手に助けられてきただけに、「まだ満足いく投球ができていない。自分の持ち味を出して、チームを勝利に導きたいです」と静かに闘志を燃やした。

 エースを支える野手陣も軽快な動きを見せた。ノックでいつも通りの丁寧な捕球と送球を確認すると、シート打撃ではレギュラーメンバーを中心に、快音を響かせた。初めて聖地に足を踏み入れたという中田悠斗主将(3年)は「デカくてビックリしました。すごく楽しくて、居心地もよかったです」と目を輝かせた。今後は4日に抽選会を行い開幕に備えるが、大阪入りしてすぐに本番の舞台を確認できたことに、光岡孝監督(39)も「いいイメージで明日からの練習に臨めそうです」と手応え。エース久保田を中心に、投打に充実した状態で開幕を迎えられそうだ。【鈴木正章】