第99回全国高校野球選手権第8日は15日、降雨のため2回戦4試合すべてが中止となり今日16日に順延となった。前橋育英(群馬)は1日順延となったことで荒井直樹監督の53歳の誕生日に明徳義塾(高知)戦を迎えることになった。左手首骨折をおして出場を続ける飯島大夢主将(3年)は「監督に白星をプレゼントしたい」と意気込んだ。なお大会日程は1日ずつ繰り下げられ、決勝は23日に実施する。

 前橋育英・飯島は報道陣から今日16日が荒井監督の誕生日だと知らされると「忘れていました」と苦笑いを浮かべた。それでもすぐに「勝つ。それが一番良いプレゼント。勝ちをプレゼントしたい」と宣言した。

 雨で順延となったことで試合が監督の誕生日と重なった。主将で4番を打つ主砲。誰よりも白星を贈りたい気持ちは強いはずだ。

 ただ、5月に死球を受けて骨折した左手首はまだ完治していない。9日の山梨学院戦は本塁打を含む3安打3打点と大活躍。荒井監督を「すごい男だな」と感激させたが、それ以降は打撃練習を行っていないのが現状だ。

 この日の室内練習でも投手陣のブルペン投球時に打席に立って目慣らしをしただけ。ボールを打つことはなかった。「練習できないので手首の状態は分かりません。痛み止めは飲んでいますが骨折なので自然に治るのを待つしかないです」と話した。

 「1回戦は不思議な力が働いた。試合前は怖くて振れませんでしたが、試合になったらスイッチが入りました」という。「何回もバットを振れないので一発で仕留めたい」。前橋育英の鉄人は、穏やかな口調ながら監督にささげる一打を放つことを誓った。【福田豊】