「越後の大砲」が3戦連発で3回戦に導く。日本文理(新潟)は今日17日、全国高校野球選手権(甲子園)の2回戦で仙台育英(宮城)と対戦する。16日は豊中ローズ球場(大阪)で練習を行った。主砲の3番川村啓真右翼手(3年)は打撃投手の球を中心に打ち込み、安打性の当たりを連発した。新潟大会決勝の中越戦、甲子園1回戦の鳴門渦潮(徳島)戦と、2戦連続で決勝本塁打をマーク中。好調なバットで勝利を呼び込む。

 好感触が残った。「全部ヒット性の手ごたえでした」。打撃練習を終えた川村は好調を実感した。マシンでの打ち込みはなく、鈴木慶人(3年)ら左腕の打撃投手を相手に4打席立った。大井道夫監督(75)は「川村はタイミングをしっかり取れるように、投手の生きた球を打っている」と言う。柵越えはなかったが、中堅から左方向にライナー性の打球を連発した。

 練習前は少し不安だった。鳴門渦潮戦後、背中に違和感があった。その後の練習はフルスイングを控えてきた。この日、封印を解き、全力で振り抜いた。「問題なかった。大丈夫です」。仙台育英のエースは140キロ左腕の長谷川拓帆(3年)。「右肩が開かないように気をつける」。フォームに注意さえすれば、打ち崩す自信はある。

 3戦連発にも「もちろん打ちたい。ホームランは打者にとって魅力」と意欲を見せる。「周囲がたくさん打っていますから」。16日までの今大会の本塁打数は41本。強打者たちのアーチ競演に刺激された。

 ただ、何よりほしいのは「打点。それを狙ってホームランだったらいい」。中越戦は勝ち越し2ラン、3安打5打点だった鳴門渦潮戦は初回に先制2ランと、過去2本は勝敗を左右する1発。仙台育英戦も「自分の前に走者が出たらかえす」と好機での出番を待つ。

 初戦の豪打で関係者からは「U18W杯(9月1~11日、カナダ)の候補に」という声もささやかれ始めた。「(日本代表には)憧れています」。川村にとっても目標だが、「それよりも、まず勝つこと」。実力証明の場を増やすためにも、2回戦を突破する。【斎藤慎一郎】