聖光学院(福島1位)が、2-1の延長10回サヨナラで東北(宮城1位)を破り、6年ぶり3度目の優勝を決めた。

 優勝こそ逃したが、夏本番へ向けて右腕エースが猛アピールした。東北・中山翔太(3年)が、素晴らしい投球を見せた。9回を投げ、強打の聖光学院を散発5安打1失点に抑え込んだ。133球の熱投で、10回にマウンドを譲ったが、新球のツーシームがさえ渡り連打を許さなかった。

 1球投げるたびに帽子を飛ばした。0ー1で迎えた5回、中山が失点直後にギアを入れた。2死から2番・横堀航平(3年)を、この日最速の143キロの直球で空振り三振に仕留めると、雄たけびを上げながらマウンドを駆け降りた。続く6回はクリーンアップを3者凡退。堂々としたピッチングで、先発としての役割をきっちり果たした。

 中山 1点取られた後だったので打者に向かって気持ちを込めて投げることができた。監督からは0・1秒たりとも気持ちで引くなといわれていたので、向かっていく姿勢を示すことができてよかった。

 昨春は九里学園戦に先発登板も9安打3失点で4回途中降板。それ以来、先発からは遠ざかっていたが、準々決勝の金足農戦では公式戦初完投初完封をマーク。1年で成長した姿を見せつけた。4月上旬から投球フォームの改造にも着手した。オーバースローからスリークオーターに変えると、覚えたてのツーシームの制球力がアップ。この日も、右打者の内角をシュート回転の球でえぐり、凡打の山を築いた。今夏は、ダブル左腕の葛岡仁、古川原将真(ともに3年)との3本柱で、戦国宮城の頂点に立つ。【下田雄一】