昨夏王者の花咲徳栄(北埼玉)が横浜(南神奈川)に競り負け、2回戦で連覇の夢が消えた。プロ注目の野村佑希投手(3年)が、4回途中7失点でKO。4点を追う9回に2点差に迫ったが、2死満塁で井上が空振り三振を喫した。野村は「投球で迷惑をかけて、申し訳ないです。後輩に日本一の景色を見せてやれず悔しいですが、悔いなくやりきった」と目に涙をためた。

 王者の意地はバットで見せた。7点を追う6回無死一塁、横浜・及川の直球を「自分らしいスイングを貫こうと思った」と強振。2戦連発の高校通算58号を左翼席に運んだ。岩井隆監督(48)の「4番に回せ」のゲキで始まった9回には、1死満塁でヘッドスライディングの適時内野安打。2戦2発、打率4割、6打点で甲子園を去った。

 初優勝を決めた昨年の8月23日から、重圧との闘いだった。新チームでは一時主将に就任。5月の春季関東大会後に負担軽減で交代したが、夏の大会はエースで4番の大黒柱を任された。「連覇のプレッシャーの中、苦しい中で野球していた」が、この日は「すごく楽しかった」とチーム一丸の戦いで完全燃焼した。

 スカウトからは右の大砲候補として、熱視線を送られる。進路について、野村は「監督に相談します。最終的な目標はプロ。日本を代表する選手になって、もう1回、甲子園で本塁打を打ちたいです」と話すにとどめたが、プロ志望届を提出するとみられる。「来年、日本一をとってほしいです」。2度目の日本一の夢を後輩に託し、新たなステージに進む。【久保賢吾】