「崖っぷちナイン」下関国際(山口)が得意の土壇場でスイッチを入れた。2点を追う9回、無死満塁とした後、暴投で1点を返すと、右前適時打で同点、犠飛で勝ち越した。大会屈指の右腕、創志学園の西を最後に崩して大逆転。坂原秀尚監督(41)は「終盤勝負だと思っていた」と、してやったりの表情を浮かべた。

 坂原監督 西くんに5回まで100球投げさせるために全球サインを出した。待てだったり、バントの構えを見せるとか、粘る作戦しかないと思った。

 5回までは初球に手を出さなかった。練習試合で経験はあったが、公式戦では初採用の「待球作戦」を甲子園で披露。「好投手攻略のツールとして練習していた」と坂原監督。西は5回110球。8回まで1安打も149球を投げさせた。「弱者が強者を倒す」をモットーとする坂原監督の作戦は、西にボディーブローのように効いていた。

 浜松主将は「紅白戦でも追う展開からスタートすることもあったし、9回2死とか負けている状況の攻撃練習をしていました」。9回に1点差を追いつき延長戦を制した初戦に続き、またも逆転勝ち。かつての部員1人時代を乗り越えた「崖っぷちナイン」の勢いは止まらない。【浦田由紀夫】