甲子園で超人DNAが光った。阪神糸井のはとこにあたる報徳学園(東兵庫)の5番糸井が、3打数3安打2打点の大暴れ。チームの春夏甲子園60勝、8年ぶりベスト8進出をたぐり寄せた。

 「この前は打てなかったので、何とかしてチームに貢献したかった」。4打席で内野安打1本に終わった2回戦後、大角健二監督(38)に声を掛けられた。「打席の中でもっと動きがあっただろ。昔を思い出せ」。初めての聖地で硬くなっていた。この日は余裕を取り戻し、広角に鋭い打球を飛ばした。

 何かをやってくれそうな期待感や奔放さも本家譲りか。アウトカウントを間違えた過去から、出塁するたびにベースコーチが「糸井係」として確認する愛されキャラ。指揮官は「チームの雰囲気が悪くても彼だけ別世界。今日はアカンと思っても、4打席目にいきなり打ったりする。計算できないけど、ある意味期待できる」と評した。

 辰徳の名は、巨人ファンの父親が現役時代全盛の原辰徳にあやかった。兄慎太朗さんも10年前に報徳学園の捕手で夏ベスト8。名プレーヤーの系譜を受け継ぐ糸井辰徳が、100回目の夏の主役に躍り出る。【吉見元太】

 ◆糸井辰徳(いとい・たつのり)2000年(平12)4月19日生まれ、京都・与謝野町出身。小学1年時に岩滝クラブで野球を始め、橋立中では京都丹後シニアに所属。3年時に全日本シニア選抜の5番捕手で世界大会優勝。高校通算15本塁打。172センチ、72キロ。右投げ左打ち。