<全国高校野球選手権:金足農2-1日大三>◇20日◇準決勝

 準決勝でも「9人野球」を貫いた。金足農が秋田大会から続く選手交代なしで決勝進出を決めた。股関節に不安を抱えていた斎藤璃玖遊撃手(3年)に3回、初安打が飛びだした。「初戦は痛かったです。トレーナーにみてもらい、もう痛みはないです」。一気に2安打して表情が緩んだ。

 秋田勢としては、第1回(1915年)の秋田中以来の決勝進出。このチームは部員10人で大阪入りしていた。週刊朝日の58回大会増刊号に、第1回出場選手の証言が残る。「もう1人いたんだが、親が大阪みたいな遠いところまで野球をしに行くことはならんといって許可されなかった」。渡部純司、野口真吉両氏の話だ。大会中、捻挫した選手が、人力車で病院に通った話もあった。

 100回大会の秋田代表は9人で戦い続ける。中泉一豊監督(45)は控え選手との実力差と言う。9回、伝令に走った背番号13、小松雅弥(2年)は「先輩たちが頑張って、ここまできた。サポートするのが役目です」。悔しさはみせず、こう話した。【米谷輝昭】