スポーツ庁の鈴木大地長官が22日、都内で会見し、高校野球の高知商野球部の部員が同校ダンス同好会の有料イベントに参加した件で、日本高野連が野球部長に処分を検討していることについて「個人的にはもう少し寛容になってもいいのかな」と述べた。同庁は昨年3月「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を策定。その中で、生徒が多様なスポーツ活動機会を得られるよう推奨しており、今回の処分が“行き過ぎ”との見方も出てきそうだ。

高知商野球部員の有料ダンスイベントへの参加問題について、スポーツ庁長官が発言した。鈴木長官は「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」の内容について触れ、「複数の部活動を実施しても良いのではないかと記載している。これからいろんなスポーツ部活動の活動のあり方があってもいいのかなと思う」と述べた。

この問題は昨年12月、高知市内の施設であった入場料500円のダンス発表会に、引退した3年生部員が参加し、ユニホーム姿で踊るなどした。甲子園での応援に対する感謝として、参加したという。野球部長はダンス同好会の顧問を兼ねていた。また、3年生部員は退部扱いにはなっていなかった。

高知県高野連からの指摘を受け、同校は報告書を提出。日本高野連は「イベント参加は問題ないが、有料であることが問題で商業的利用にあたる」とのスタンスに立ち、同部長の謹慎処分を検討中だ。

この日、寛容な対応を求めた鈴木長官。その背景には昨今、運動部活動内での行き過ぎた指導やスポーツ界の不祥事などが問題視されてきたことがある。同庁は昨年3月、現在の潮流にあった運動部活動のガイドラインを策定した。

その前文には「運動部活動を持続可能なものとするためには、各自のニーズに応じた運動・スポーツを行うことができるよう、速やかに、抜本的な改革に取り組む必要がある」などとある。生徒のニーズに関して具体的には「季節ごとに異なるスポーツを行う活動、競技志向でなくレクリエーション志向で行う活動」などを推奨している。

高知商は昨秋の四国大会でベスト4に入り、3月の選抜高校野球大会への出場の可能性を残しているが、25日に行われる選考会への影響はないという。