苫小牧工が、昨夏南北海道大会4強の北海道栄に競り勝ち、全道制覇した96年以来23年ぶりの春全道大会出場に王手をかけた。

右横手投げの松本凜大(りんと)投手(3年)が、緩急つけた投球で9回完投。被安打7で2失点と、粘り強い投球で勝利に導いた。

最速125キロの直球と、80キロ台の変化球を駆使した“メリハリ投球”で北海道栄打線をほんろうした。全27アウトのうち、フライアウト13個。5回と9回以外すべて走者を許すも、勝負どころでタイミングをずらし、凡打の山を積み上げた。最後の打者を中飛に打ち取ると、少し目を潤ませ「球速は速くないので、味方を信じて打たせて取ることができて良かった」と振り返った。

2年春に「直球で押せない自分が投手として生き残るため」横手投げに転向した。打者の目線を変えることで徐々に頭角を現し昨夏、背番号11で初のベンチ入り。秋にエース昇格も、地区2回戦の北海道大谷室蘭戦で死球を連発して敗れた。内角の制球に課題があり、冬場にフォーム修正。「体の使い方が参考になった」という同じ右横手投げの中日又吉の右足使い方を参考に、ブルペンではマネジャーを打席に立たせ、1球ごとに状況を設定し、投球練習を繰り返した。

試合によっては外野手もこなし、野手用グラブの中には「古豪復活」と刺しゅうを入れてある。「ここから新たな歴史をつくっていけたら」。平成元年(89年)春に甲子園で1勝を挙げている古豪が、令和元年の春、復権ののろしを上げる。【永野高輔】