まさかの逆転負けに、北陵ナインは泣き崩れた。

1点リードで迎えた9回1死走者なしから、マウンドを守ってきたエース中尾秀虎投手(3年)が、突如制球を乱し、連続四球。

1死一、二塁のピンチを招いたところで降板すると、そこから3連打を浴びて逆転されてしまった。佐賀東などを率いて甲子園出場経験がある吉丸信監督(64)は「私の責任です。選手に申し訳ない」と肩を落とした。

「実は中尾はずっと右ひじを痛めていて注射を打って投げていた。最後までお前でいくと言って使っていたのに、最後の最後で代えてしまった。力のない投球で四球だったので…。こんな結末になるなんて…。でも、最後まで中尾でいくべきだった」

難しい選択だったが、裏目に出た継投を悔やんだ。「このチームはいいチームだった。夏にかけていた。選手もその気になってくれていた。だから申し訳ない…」と、悔し涙にくれるナインの横で、名将の吉丸監督も言葉を詰まらせていた。