部員13人の花泉が、同14人の大東を6-1で逆転勝ちし、一関市の少数精鋭対決を制した。5年連続初戦敗退中だったが、08年以来11年ぶりに2勝を挙げて16強入り。エース右腕・千葉聖也(3年)ら3人の3年生を中心に、花泉中出身者だけで構成するチームワークを結実させた。20日の4回戦では、今春センバツ出場の盛岡大付を破った一関工と「一関ダービー」の連戦に挑む。

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岩手唯一の3学年全員同じ中学出身の地元密着校が、結束力の強さを示した。エース千葉聖は3回表に1点先制を許しても、同裏に皆川将人内野手(2年)の右越え2点適時打で一塁から生還し、逆転。5回には自ら左前適時打で加点。「後輩たちも含めて、小中学校からのチームメートばかり。どのチームにもチームワークだけは負けない。逆転してくれた仲間や応援してくれた学校の仲間に感謝したい」と汗を拭いた。

3人しかいない3年生同士も支え合って引っ張ってきた。ウイニングボールを主将の佐藤優多中堅手(3年)がつかむと、右翼に回っていた千葉聖と、千葉有瑠斗二塁手(3年)がマウンド付近で待ち受け、3人でグラブをタッチ。会心の笑顔で整列に加わった。大東のエース菅原慎(3年)も中学の同級生だっただけに複雑だったが、千葉聖は「向こうが中学ではエースで僕はベンチ。負けたくない気持ちも強かった」。互いを知り尽くした宿敵の分まで、今後も一戦必勝で戦う。

それぞれ車の製造業などに就職希望のため、3人での野球生活は負ければ終わり。佐藤優は「勝つってうれしいんだなと思えた。悪いところを指摘してきて良かった」。千葉有も「人数は少なくても、次も花高らしく初回から楽しみたい」と意気込む。

次戦の一関工とは昨秋の地区予選代表決定戦で2-1、今春の地区2回戦では2-3と1勝1敗だ。千葉聖は「3人での一番の思い出は秋に一関工に勝って県大会出場を決めた試合。1点ずつ積み重ねて勝ちたい」。花泉中での仲間は16強に残った一関工、一関一、千厩にもいる。部員13人と女子マネジャー1人の絆で旧友たちを上回るつもりだ。【鎌田直秀】