<高校野球千葉大会:習志野6-5木更津総合>◇24日◇準決勝◇ZOZOマリンスタジアム

「自分のせいで負けて申し訳ない」。木更津総合の最速149キロ右腕の根本太一投手(3年)は涙が止まらなかった。習志野との準決勝。5-5で迎えた延長11回裏2死一、三塁。「三振を取ろうと投げた」真っすぐがわずか内に入った。サヨナラ内野安打に天を仰いだ。

昨年10月の右肩のケガが原因で不調が続いた。「腕を振るとまた痛くなるかも。でも打たれたくない」。不安との葛藤の一方で「甲子園で149キロを投げられた。僕にできないわけはない」と気持ちは揺れた。

大会1カ月前、五島卓道監督(65)は制球難に苦しむ根本を復活させるため、決断した。「ユニホームを汚して、いろんな見方を経験をさせる」。ブルペンから外し一塁の練習へ、チームメートには厳しい声かけを指示した。内面から強い選手になってもらいたいと願った指導の結果、根本に「必死にボールを追いかけて野球が楽しくなった」と笑顔が戻った。

同点の8回2死二塁から登板すると、ストライク先行で最速は147キロをマークした。五島監督は「四球を連発していた頃を考えると、よくここまできましたよ」と目を細めた。「もっと力をつけて上を目指したい」。根本は大粒の涙を流しながら恩師に将来の活躍を誓った。【保坂淑子】