<高校野球西東京大会:国学院久我山3-1東海大菅生>◇26日◇準決勝◇神宮球場

相手の校歌を聞くうち、敗れて整列する東海大菅生(西東京)の小山翔暉捕手(3年)は、こみ上げる涙をこらえきれなかった。「みんなと、これまでぶつかることもあったけど、苦しいことも一緒に乗り越えてきた。感謝の思いが広がって…」と振り返った。

痛む右手首が、本来のバットスイングを許してくれなかった。初回の守備。小山は、国学院久我山の先頭打者、西川新中堅手(3年)が死球を受けた際、その「こぼれ球」を右手首に当て、治療を受けた。アイシングとテーピングを施して戦列に戻ったものの、痛みはイニングの重なりとともにひどくなった。「バットを握るたびに痛くて、思うようにバットが出てこなかった」。打撃で4打数無安打。二塁送球1・8秒台の強肩の見せ場もなかった。

東海大菅生は「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」をスローガンに夏に挑んだ。センバツ落選の悲報を受け「夏こそ、実力で勝つ!」と甲子園を目指してきた。エースの左腕、中村晃太朗投手(3年)は「相手打線はレベルが高かった」とポツリ。5月のトレーニング強化期間中、左ヒザに違和感を訴え、6月いっぱい走り込みと投球練習を控えた。報道陣から大会前の投げ込み不足の影響を聞かれると、中村晃は「それを言い訳にしたくない」と言った。

プロ注目とされる小山は試合後、進路を聞かれると迷わずに言った。「大学進学です」。一回りも、二回りも大きくなって、プロを目指す。くだんのスローガンは、さらに続くことになる。【玉置肇】