九州勢最後のとりでだった海星がサヨナラ負けで、1976年の4強以来の8強を逃した。

6回に6-6と追いつき、迎えた9回1死満塁。4回から甲子園初登板して2失点で踏ん張っていた江越永輝投手が、渾身(こんしん)の141キロを中前打され力尽きた。「真っすぐが真ん中に入った」。海星OBの阪神江越大賀外野手の遠縁にあたる右腕は「6回に追いついてくれて頑張って投げないといけなかったが、打たれて申し訳ない」とうなだれた。

阪神江越とは今年正月に会ったといい「ご近所さんなので、あいさつに行った。『しっかり甲子園に行けるように練習しろよ』」と言ってもらった。甲子園出場が決まった際にも母を通じて「おめでとう」と連絡をもらい、エールに発奮したが勝利できなかった。

先発柴田は緩急勝負が通じず、3回までにソロ本塁打2本を浴びるなど4失点で逆転された。だが、2試合で29安打19得点の八戸学院光星に真っ向勝負した。6回は暴投で1点を返し、なお2死二、三塁から2番大串の2点適時打で追いついた。9回は2死走者なしから3番松尾倫が執念の右越え三塁打。一打同点として4番高谷は右飛だったが、最後まで相手を追い詰めた。松尾倫は「優勝候補と言われていて、智弁学園に逆転勝ちしていて、評判はあっちが上だった。チャレンジャーとしてやりました。いい試合ができました」と胸を張った。

加藤慶二監督(45)は、長崎大会でも経験のない強力打線封じのカギを握る先発起用を悩み「柴田にしたいが僕は江越で行こうと思い、今朝まで悩んだ」と明かした。2投手で粘って、引けをとらない打力で善戦した。【菊川光一】

▽海星・柴田 率直に言うと悔しいけど、八戸さん相手にいい試合ができた。自分の中ではやり切ったかな。緩急をつけた投球をやれたと思う。自分はすごく楽しくできた。感謝の気持ちを持って投げられた。