高岡商(富山)の“リベンジ”はならなかった。昨年8月16日、3回戦で大阪桐蔭に1-3と惜敗。1年後のこの日、同じ3回戦で同じ大阪代表の履正社と対戦したが、右サイドハンドの先発荒井大地(3年)が前半に5失点し、主導権を握れなかった。

1年前との違いは見せた。安打数は履正社の14本に対して12本。4、6回の反撃機に5番藤井康平(2年)が犠飛を放ったが、安打でつながっていれば…という展開だった。1番森田朝陽主将(3年)は悔し泣きしながら「ヒットは昨年より格段に増えた。結果として冬場の練習の成果は出たかなと思います」と胸を張る。昨年の大阪桐蔭戦は5安打だった。

吉田真監督が13年に就任後「日本一」を目標に掲げる。昨年のチームは冬場に「1人6万スイング」をノルマにしたが、今年は「7万スイング」にハードルを上げて、バットを振り込んできた。新チーム結成時、掲げたスローガンは「全振全礼一球尽力」。森田主将は「全振はフルスイング、全礼はすべてに感謝すること」と造語の意味を説明。一球尽力は昨年の大阪桐蔭に感じたスキのなさ、勝負強さ、集中力を見習うために-と考えた。

来年のチームの軸となる5番藤井は「犠飛じゃなく、もう1本、つなぎの1本がヒットで出ていたら」と言った。1年生遊撃手の6番石黒和弥は「履正社にはスイングの速さがあった。そこが優勝を狙うチームの強さと思います」と言いつつ、冬場にバットを振り込み、打力を上げる方法論に「間違いないです。来年はもっとやれると思います」と自信を見せた。

県勢で58年大会の魚津以来61年ぶり、同高では47年大会以来72年ぶりの8強進出は逃したが、吉田監督は「3年生は富山の子ばかりですが、やればできるということを示してくれた」と手応えと悔しさに声を震わせる。目標「日本一」はもう夢物語じゃない。