履正社(大阪)が豊中市内で21日、星稜(石川)と対戦する22日の決勝に向け最終調整を行った。フリーバッティングを中心に、約2時間汗を流した。

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「ドアップ奥川作戦」で対戦イメージは整った。この日最終調整した履正社ナインだが、マル秘特訓が前夜に行われていた。準決勝を終えた20日夜、選手は宿舎の食堂に集合していた。

ナインの目の前には、映画が見られるほどの巨大スクリーンがあった。そこに映し出されていたのは、バーチャル奥川。しかも、星稜・奥川はもともと183センチ、84キロの大型右腕だが、小深田大地内野手(2年)は「実際の奥川さんよりも大きかったです」と、衝撃度満点のアップ映像だった。

そんな迫力映像を前に、45分間全員でバットを振り込んだ。常時150キロに迫る剛速球と、スライダーの曲がりもリアリティー抜群。センバツで17三振を喫した剛腕の攻略へ、タイミングを入念に確認。準決勝の明石商(兵庫)との試合映像もチェックして打席内容を復習するなど、ここ全5試合で2桁安打の打線は準備に抜かりがない。

この日の練習ではフリー打撃でマウンドの3~4メートル手前から右投手の全力投球を打ち込んだ。高校通算48本塁打の4番井上広大外野手(3年)は大きな当たりを放つなど好調な様子。「奥川君をイメージして打席に立った。打倒奥川君でやってきた。このままでは終われない」。センバツでは4打数無安打2三振だった主砲は、リベンジの思いを言葉にした。

岡田龍生監督(58)は「センバツで奥川君を見て、(レベルアップしないと)甲子園で勝てないと思ったのが決勝までくることができたスタート。奥川君にチームを奮い立たせてもらえた。明日(22日)は競った中でやるしかない」と原点を振り返る。履正社の所在地は「高校野球発祥の地」豊中市。豊中の街から、初の甲子園優勝をかなえる。【望月千草】