履正社(大阪)が、奥川恭伸投手(3年)を擁した星稜(石川)にリベンジを果たし、春夏通じて初の優勝を達成した。

1点を追う3回2死一、二塁で4番井上広大外野手(3年)が逆転3ランを左中間席に運んだ。井上はこの夏3発目で高校通算49号。センバツでは奥川に4打数無安打2三振だったが、最高の舞台で特大アーチを刻んだ。

同点とされた直後の8回表、履正社は1死三塁から7番野口の中前適時打で4-3と勝ち越し。さらに1点を加えた。奥川を攻略した。

「強打の履正社」の原点は3月23日。この日の決勝と同一カードとなったセンバツ1回戦だった。奥川の前に3安打に終わり、17三振を奪われる完敗を喫した。岡田龍生監督(58)は「センバツで奥川君を見て、(レベルアップしないと)甲子園で勝てないと思ったのが決勝まで来れたスタート。奥川君にチームを奮い立たせてもらえた」と振り返る。

春以降、チームは「対応力」をテーマに掲げた。凡打しても次の打席で確実に仕留める打撃を理想に掲げ、打力を磨いてきた。春からは筋力トレーニングの時間を増やし、食事面にも細かく気を配ってきた。

体も大きくなったことで飛距離も伸びた。パワーアップし、技術的にもレベルアップしたことは、数字にも表れている。大阪大会は8試合で81安打56得点。今大会も初戦の霞ケ浦(茨城)戦で、大会タイ記録となるチーム1試合5本塁打。その試合を含め、準決勝まで5戦連続2桁安打を記録して勝ち上がってきていた。

なにより、打倒奥川への思いは選手の言葉にも表れていた。3日の組み合わせ抽選会で星稜と大会序盤に当たらないことが決まったが、その抽選会直後に主砲井上は「日本一を目指すには遅かれ早かれ対戦する。僕は最初からでもいいと思っていました」。前日21日にも「打倒奥川君でやってきた。このままでは終われない」と語っていた。

屈辱の一戦から5カ月。栄冠は生まれ変わった履正社に輝いた。