星稜・林和成監督は「私の力のなさ。生徒たちは最後まで楽しんでやってくれた。たたえたいです」と悔やんだ。

最後も選手を信じた。準々決勝で満塁弾を放った今井ではなく「最後は3年生」と有松を3試合ぶりに戻し、2安打と結果を出させた。

選手には誠実で裏表のない人間になってほしいと願う。自らも真っ正直な性格。21日の囲み取材で、恩師の山下名誉監督から受けた影響を聞かれた。「野球で人作りをすること。若い世代は我慢を知らない子が多い…。私が言うと説得力ないんですけどね」。もちろん大爆笑になった。

センバツの習志野戦でサイン盗みを疑い「我慢」できずに、試合後に敵将に抗議に向かった。学校から2カ月間の謹慎処分。批判の電話に心を病んだ。涙したのは1度や2度ではない。介護施設で入浴介助をしたり、指導者の本を読みあさったり。もがいていた。復帰後、一皮むけたような選手の姿がうれしかった。

「高校野球は素晴らしいというのを見せるのが使命と思う」。習志野戦の行動は信念が“暴走”した結果だろう。ブレずに突っ走った結果の準優勝。昨夏の甲子園で敗れ、選手を前にかりゆし58の「オワリはじまり」を歌ったが、今のお気に入りはベリーグッドマンの「ありがとう」。監督不在にも負けず成長した選手たちに感謝し、また日本一のチーム作りに入る。【柏原誠】