昨夏の全国高校野球選手権・新潟県代表の日本文理が5月31日、自主練習を自校グラウンドで行った。

昨夏の甲子園メンバーで関東第一(東東京)戦で2番手で登板した長谷川優也内野手(3年)が投手でプロ志望の胸の内を明かした。新型コロナウイルスの影響で20日に夏甲子園と地方大会中止が決定後、県高野連は独自大会開催を検討中。高校野球の区切りの場を、その先の目標にたどり着くステップにするため、汗を流す。

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右腕をしなやかに、鋭く振り抜いて長谷川はボールを放った。バッテリーでのキャッチボール。「ようやく良くなってきた」と好感触を得た。29日の室内自主トレでOBで元ヤクルト投手の本間忠・外部コーチ(42)から「野手のスローイングで多く投げながら、投手のフォームに取り入れよう」とアドバイスされた。冬場に崩れていたフォームがそこで急速に安定した。23日から土、日だけ行うようになったグラウンドでの自主トレ。2週目に入って「進化」を確信した。

気持ちは切り替わっている。「進路はプロを志望。投手で行きたい」。昨夏の甲子園、1回戦の関東第一(東東京)戦。3番三塁手でスタメン出場し、5回から2番手で登板した。最速143キロの直球とスライダーのコンビネーションで勝負する実戦派。経験を積み、連続出場を目指した今夏甲子園はアピールの場になるはずだった。その機会は失ったが「これからは甲子園が中止になった年代として見られる。その代表としてプロのステージで活躍したい」と前を向く。

ステップとして県独自大会開催を熱望する。3月から続いた自粛期間は「体力維持ではなく、体力アップ」をテーマにした。筋トレ、体幹を徹底し体重は昨年から2キロアップし76キロを超えた。休校中は桑原大紀内野手(3年)や新潟明訓、北越などに進んだ黒埼中時代のチームメートと自主トレをした。野球の楽しさを実感しながら湧き出る意欲も感じた。努力を形にする場が欲しくなった。

甲子園のマウンドは4回を投げ、5安打4失点。関東第一打線につかまり、試合も6-10で敗戦。「甲子園はもっと力があれば、もっと楽しい場になる。それをチームメートに伝えたかった」。悔いは残る。ただ、やるべきこともある。「1年生はまだ3年生が試合をしている姿を見ていない。『日本文理の野球はこうなんだ』というところを見せて終わりたい」。高校野球をやり切り、視線を上のステージに定める。【斎藤慎一郎】

◆長谷川優也(はせがわ・ゆうや)2002年(平14)8月6日生まれ、新潟市出身。大野小1年の時に黒埼ヤンキースで野球を始める。黒埼中では主に投手で3年の春季県大会優勝。内野手としてU15日本代表に選出され、U15アジア選手権で優勝した。日本文理では1年春からベンチ入り。好きなプロ野球選手は巨人坂本勇人。176センチ、76キロ。右投げ右打ち。