夏の甲子園・福島県大会13連覇中の聖光学院は5月31日、桑折町の同校グラウンドで約2カ月ぶりの実戦となる、東日本国際大昌平との練習試合を行った。主力組の試合で先発したエース格の舘池亮祐投手(3年)が好投。昨秋はベンチ外だったが、冬を越えて大きく成長し、夏までにしっかり間に合わせた形だ。今夏の選手権大会は中止になったが、チームはさらなる進化を目指している。

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本来ならば、前人未到14年連続の甲子園へ、一気にギアを入れる時期だ。主力組の試合で先発を任された舘池は、サイドから無心で右腕を振り続ける。5回を投げ1安打1失点。主戦として、立派に責任を果たした。昨秋は右肘痛の影響もあってベンチ外。冬には完治したものの、違和感が残って満足のいく練習ができなかった。そんなとき、原点を思い出す。舘池は小学生の頃から甲子園出場を夢見てきた。生まれ育った東京から、甲子園の常連である聖光学院を目指し、福島まで来たのだ。だからこそ、ひたすら陰で努力を重ねた。そして、今や誰もが認めるエース候補にまでのし上がった。しかし、非情にも同じタイミングで大会中止が決まった。舘池は「ある程度覚悟はしていたのですが、喪失感はありました。でも、代替大会開催を信じて切り替えました」と、気丈に振り返った。

代替大会は7月18日開幕を予定している。グラウンドのスコアボードには大会までのカウントダウンの日数を示し、3年生は最後の晴れ舞台に気持ちを高めている。舘池は「用意してくれた県大会で、高校最後の集大成をプレーで見せたい」と力強く話した。最大の目標(甲子園)は失ったが、絶対王者のプライドを胸にマウンドで躍動する。

特別な夏を迎える3年生に斎藤智也監督(56)は「夏の大会が中止になっても野球をやってきた時間、経験、歩みは変わらない。今までやってきた聖光学院野球の価値観を考えて、自分の集大成となる歩みを夏の代替大会で発表してほしい。皆で感動のある大会にしたいよね」と選手に期待を寄せている。【佐藤究】