今日18日、強豪ひしめく高校野球の大阪独自大会が開幕する。精華のエース右腕・松木平(まつきひら)優太投手(3年)は、プロが密かに注目する「隠し玉」だ。投手転向わずか1年で、NPBスカウトがホレ込む原石。「プロ志望届を出して、かからなかったら独立リーグに入って目指したい。最終的にプロになりたい」とビジョンを描いている。

投手を始めて1カ月の昨夏。数イニング投げた練習試合で、たまたま相手校の視察に訪れていたあるNPBスカウトの目に留まった。同スカウトは「数字(球速)とかじゃなく肘の柔らかさ。体に肉が付けばもっと球速も伸びるかも」と、全体のバランスや肘の振りに伸びしろを見た。「びっくりした。このままレベルアップしたらって。頑張ろうと思いました」(松木平)。運も味方に憧れの世界を引き寄せた。

高校最後の1年は、公式戦の舞台が立て続けに奪われた。だが目標は見失わず、毎日約20キロの走り込みは欠かさない。祖母・栄子さんは「そんなガリガリでいけるんか」と毎食3合の米を炊いてくれる。細身な体が、自粛期間で5キロ増。「毎食炊いてくれて、応援してくれています」と照れくさそうにする。祖母の愛情も土台強化につながり、昨秋まで139キロだった最速は大会前の履正社との練習試合で、自己最速を6キロ更新する145キロをマーク。理想は高く掲げ、150キロの大台を超える力強い投球を追い求めている。

18日、羽衣学園との1回戦(シティ信金スタ)でいよいよベールを脱ぐ。「スカウトさんも来たら、良い結果残したい。10個以上三振取って、最少失点で抑えられたらベストピッチング」。右腕を振り、可能性を引き寄せる。【望月千草】

 

◆松木平優太(まつきひら・ゆうた)2003年(平15)2月24日生まれ、大阪市出身。小1でソフトボールを始め投手、港南中では港ボーイズに所属し内野手。精華では3年からエースナンバーを背負う。178センチ、67キロ。右投げ右打ち。

▽精華・蔭山淳監督(松木平について)「細いけど何球投げてもいける体力があるし、地肩も強い。吸収力も高い。どんなにしんどい練習でも楽しそうにやれる子です」