それぞれの思いとともに甲子園へ-。第103回全国高校野球選手権東西東京大会(7月4日開幕)の組み合わせ抽選会が19日、都内で行われた。

西東京第3シードの国学院久我山は、国指定の難病を患っている飛沢翔咲(とびさわ・しょうさく)マネジャーを甲子園に連れて行くことがチームの目標だ。

東東京の第1シード関東第一は石見陸捕手が扇の要。昨秋、50歳で亡くなった父への思いも胸に、最後の夏に挑む。長野、愛知、和歌山、鹿児島でも抽選が行われ、今春センバツを沸かせた中京大中京(愛知)・畔柳亨丞(くろやなぎ・きょうすけ)投手、市和歌山・小園健太投手(学年はすべて3年)が、再び聖地を目指す。

   ◇   ◇   ◇

国学院久我山には、甲子園に連れて行きたい存在がいる。この日の抽選会でくじを引いた飛沢マネジャーだ。

大役を果たし「緊張しました」と笑顔を見せる飛沢マネジャーだが、小4の3学期、国指定の難病「肥大性心筋症」を患っていることが分かった。「あの時は本当に頭が真っ白になりました」。競争性が高い運動は全て禁止に。所属していた野球クラブはやめざるを得なかった。

しかし、野球を諦めなかった。中学からマネジャーを始め、高校では甲子園を目指すために同校へ。その夏、甲子園出場を果たした。「階段を上ってスタンドに入った時、面積だけではない大きさを感じました」。夢が1つかなった。

今度は飛沢を甲子園のベンチに入れたい。チームの練習着には、翔咲という名前に、甲子園出場の夢を咲かせる意味を込めて、背中に「咲」の文字がプリントされている。3番打者で、飛沢が“久我山の安打製造機”と太鼓判を押す田村優樹外野手(3年)は「飛沢は1年の時からチームのために頑張ってくれました。チーム全体が飛沢を甲子園に連れて行くという思いがありますし、僕もその思いは強いんです」と力強い。西東京第3シード。2年ぶりの夏甲子園を目指す。【阿部泰斉】