センバツ8強で西東京大会V候補の東海大菅生が、エースの力投で夏の1勝目をつかんだ。

センバツ以来の公式戦登板となった本田峻也投手(3年)が7回を4安打5奪三振の2失点。ノーシードから勝ち上がってきた強豪・国士舘に競り勝った。肩の違和感で実戦から遠ざかってきた左腕が、強力打線相手に躍動感のある投球を披露。チームを初戦突破に導いた。

◇  ◇  ◇  

東海大菅生にエース本田が帰ってきた。センバツ準々決勝・中京大中京戦を最後に、肩の不安から公式戦登板を回避。久々のマウンドに「緊張しました。ケガしてずっと投げてなくて、大会離れを感じていました。今日は全球種、あまり良くなかったです」。笑顔で振り返ったが、自己評価は厳しかった。

気迫をボールに込めた。1点リードの5回2死二、三塁、打席は3回に2点適時打を放っていた3番・清水。カウント1-0から2球目を捉えられた。中堅への大飛球に「焦りました。持ってかれたと思いました。でも、(中堅手は主将の)栄だったので、絶対捕ってくれると思いました」と中飛に抑え、難所を乗り切った。

長いノースローをへてのマウンドだった。センバツ終了後、5月の中旬までキャッチボールも自ら禁止に。春の都大会はエースナンバーを託されながらも、登板はゼロだった。夏に最高の結果を出すために耐えた。「『これくらいやればいいだろう』という意識をなくしました。超音波治療を取り入れたり、肩の状態を毎日気にするようになりました」。肩の調子はみるみる良化。6月の練習試合では、東東京大会第2シードの二松学舎大付相手に完封勝利を決めた。我慢のかいあって、万全の状態でこの夏を迎えられた。

大会前には、肩の違和感を抱えながら投げたセンバツを反省し、「春失敗してる分、夏にかける思いは強いんです。日本一になるために、まずは西東京をきっちり勝ちたい」と力強く誓っていた。有言実行の夏へ、まずは復活の1勝を手にした。【阿部泰斉】