<高校野球東東京大会:二松学舎大付3-0東京成徳大高>◇17日◇3回戦◇駒沢球場

強豪相手に善戦したからといって「よく頑張った」などと、気軽に言葉はかけられない。その選手が本気で勝とうとしていたのなら、なおさらだ。

9安打3失点で完投負けを喫した東京成徳大高・岩井拓巳投手(3年)は「結局、打たれちゃった。打たれなければ負けてない。投手の責任です。まだまだ力不足。いい勝負はできたけど、いい勝負だった、で終わった。勝たないと意味がない。悔しいです」と、今にも泣きそうな声で話し始めた。

セットからテンポよく、ストライク先行で投げた。再三のピンチにも1本を許さず、0を並べた。だが、5回2死満塁、4番への1ボールからの2球目が「タイミングをずらそうと緩いボールを投げたら甘く」入り、左越えに決勝の2点適時二塁打を打たれた。「さすがです」と素直に言った。

1年前の夏も同じ二松学舎大付に投げたが、0-10のコールド負け。制球の重要性を痛感し、この1年、コントロールを磨いた。毎日、シャドーピッチングを重ね、チェンジアップ、カットと球種も増やした。成長の成果は、この日の投手戦となって現れた。相手のドラフト候補左腕、秋山と堂々と渡り合った。

今後も野球を続けるか問われると「まだ決められません」。今は、高校野球が終わった事実が重い。「いっぱいつらいこともあって、チームで乗り越えてきました。3年生は少ないですが、いいチームでした。2年生もしっかりやってもらえたら」と後輩たちに思いを託した。【古川真弥】