富士学苑が春季大会を制した駿台甲府を終盤の大量得点で逆転して、準決勝進出を決めた。

3点を追う7回表、駿台甲府の失策につけこみ1死二塁から池田雅内野手(3年)の適時打で2点差、さらに白須颯大内野手(2年)の二塁打で1死二、三塁としてから椚原(くぬぎはら)涼登外野手(3年)の三ゴロで三塁走者池田が生還して1点差。なおも1死一、三塁から宮下拓也内野手(3年)の内野ゴロで5-5の同点に追い付いた。

勢いづく富士学苑は8回、駿台甲府の2番手井出沢舜(3年)を攻め、2死満塁から白須颯が押し出しの死球で逆転、さらに椚原が右越え走者一掃の二塁打で9-5と試合を決めた。

最終回は富士学苑の2番手、左腕の白須亜斗夢(2年)が9回裏を抑えて富士学苑が2019年に続く4強入り。

富士学苑はSBT効果で、選手が常に前向き、ポジティブ、そして明るい。主将の五味龍星内野手(3年)は「スーパー・ブレイン・トレーニングのおかげです」と、勝って笑顔、後片付けしながらも笑顔、そして取材を受けて笑顔と、常にニコニコしている。「僕たちは昨年の秋からこのトレーニングをしています。成功を信じる力と、苦楽力です。苦楽力とは、苦しみも楽しもうという精神力です」。

取材を受ける選手たちを眺めながら長谷知雄監督(43)も穏やかそうな表情。実は甲府商に逆転勝利を収めた翌日にたっぷり蓄えていたヒゲを剃った。「深い意味はないんですよ。ただ、甲府商戦で僕自身もっとこうできた、これは反省だなというのがいくつかあって、それでみそぎの意味で剃ったんです」。

チーム全体に活気があふれ、笑顔と声掛けがたえない。試合後は甲府商戦で同点3ランを放っている池谷大和捕手(3年)が、体調を崩しておんぶされて引き揚げるアクシデントもあったが、優勝候補の駿台甲府を終盤に逆転しムードは最高潮といえる。