追い上げる富士学苑(山梨)の攻撃がハンパない。春王者・駿台甲府を終盤の猛攻7得点で逆転。3回戦の甲府商戦でも3点ビハインドをひっくり返したばかりで、19年に続く4強入りした。

7回に3点差を追いつくと、8回に畳み掛けた。押し出し死球で勝ち越し。そして2死満塁から椚原涼登外野手(3年)が走者一掃の二塁打。秒殺の4得点で勝負は決まった。

謙虚で明るい主将の五味龍星内野手(3年)が流れを引っ張り込む秘密を明かした。「僕たちはSBTやってますから」。スーパー(S)・ブレイン(B)・トレーニング(T)。何事にも前向きに取り組むためのメンタル改革で、そのエッセンスを説明した。「苦楽力という言葉があります。苦しみの中に楽しさを見つけて、苦しさも楽しもうってことです」。そう言われてみるとリードされても、ベンチは明るい。

そのSBTの1つに「全力じゃんけん大会」がある。キャッチボール前に相手と至近距離でじゃんけん。そして結果にかかわらず、喜ぶ。負けてもはじけるように笑って喜ぶ。「負けてもいかに大声出して楽しめるかなんです」。昨秋から取り入れた「全力じゃんけん」で、目先の結果にとらわれない、超ポジティブ思考がナインに根付いた。

リードされたくらいでは、富士学苑のメンタルは動じない、そういう土台ができている。ちなみに五味主将は、試合前の先攻後攻を決めるじゃんけんでチョキで勝った。すかさず「先攻でお願いします」。どうして先攻なのか? 「先に攻めちゃおうってことです」。この日は、先制されてからの本領発揮で逆転勝利。この際、細かいことは気にしない。富士学苑の野球は、リードされてからが面白い。【井上真】