<高校野球東東京大会:大森学園5-0大島>◇19日◇3回戦◇駒沢球場

試合前のあいさつを行う第3シードの大森学園のナインたちは、さらさらヘアだった。丸刈りの大島とは対照的。昨秋から指揮する石黒隼監督(32)の意向だった。「丸刈りにしないといけない理由はありません」。昨秋大会後から、学校のルール内なら髪形自由とした。丸刈りもOK。同様の学校は増えているが、いわゆる強豪私学では、まだまだ少数派だろう。

「10年、20年内に丸刈り禁止のルールができるかも知れない。その時に禁止するのではなく、時代を先取りしたい」。

選手は、さぞ喜んだかというと…。松本哲郎主将(3年)は「チームがばらばらになるのでは」と、むしろ怖かったという。「僕たちの代は全員、丸刈りで行きます」と逆に直訴した。石黒監督の答えは「そうじゃない。それぞれに選択させよう」。今では、松本もこざっぱりした髪形を気に入っている。「周りからは『大学生みたいだね』とよく言われます」と、照れながら明かした。

大島戦では、先制の2点適時二塁打を含む2安打。捕手として攻守に引っ張り、初戦突破に貢献した。ただ、序盤はチーム全体が硬かった。「勝ったから次に生かせます」。髪形が自由となりプレーに好影響が出たかというと「あまり感じません」。石黒監督も「正直、そこまで深い意味はないんです」。ただ、こうも言った。「髪の毛でやる気は判断しません。ただ、どう見えるかは、すごく大事。野球で格好つけて欲しい」。勝てば勝つほど、格好良く見える。【古川真弥】