大島・平野生主将(3年)は「自分を含め、緊張で硬くなってしまいました。投手を打つ実戦経験がなく、変化球に対応できませんでした」と悔やんだ。初回1死一、二塁で回ってきたが、見逃し三振。後続も倒れ、先制チャンスを逃した。2回にも得点圏に走者を進めたが、1本が出なかった。

離島にあるため、コロナ禍で練習試合を組めなかった。実戦不足は守りにも出た。5回2死一、二塁で、相手の1番松本の打球は平凡なフライと思われたが、右翼手が打球を見失い、先制を許す2点適時二塁打となった。高島凱哉監督(22)は「いつも大島のグラウンドだけでしたので。点差以上の実力の差を感じました」と率直に振り返った。

それでも、選手10人だけのチームが、この夏は2勝を挙げた。唯一の3年生選手でもある平野は「島の魂で『島魂(とうこん)』というんですが、それを持って向かおうとやってきました」と前を向いて言った。1年の頃はケガがちで、試合に出ることができなかった。新監督の下、キャプテンとして後輩たちを引っ張った。「1球1球、全力でプレーするチームになって欲しい」と思いを託した。野球は、これで引退。卒業後は大学に進み、将来は「小さい頃からの夢」である航海士を目指す。