9回1死一、二塁。富士学苑の4番椚原涼登外野手(3年)のカウントは2-1。長谷知雄監督(43)はエンドランを選択した。試合後、4連覇中の山梨学院・吉田監督がたたえた作戦は、暴投も重なりビッグプレーとなった。

投球は捕手も捕れず転々とした。スタートを切っていた二走の白須颯大内野手(2年)は全力で三塁をまわる。「三塁コーチャーがまわしてました。ホームではクロスプレーでふらっとしましたが、大丈夫です」。泥まみれの顔でニッコリ。

12日に母佳代子さん(43)方の祖母成子(しげこ=74)さん、2日後の14日には父貴巳さん(47)方の祖父幸忠さん(82)が相次いで亡くなった。「おばあちゃんは明け方でした。おじいちゃんとおばあちゃんが続けて亡くなり、悲しかったんですが、今は試合でしっかりやろうと気持ちを切り替えていました」。

白須颯の激走で流れは来た。1死三塁から代打鈴木皐詩外野手(3年)の初球もエンドラン。しっかり転がし4点目。長谷監督は「椚原の時は、とにかくバットを振らしたくてエンドランを出しました。カウントも相手はストライクがほしいところです。うちは、そんな難しい野球はしません。シンプルなんです。それよりも三塁コーチャーがよく回してくれました。三塁コーチャーの話を聞いてやってください」と、謙遜しつつ、高野太輔三塁コーチ(2年)をほめた。

4度目の決勝進出だ。初優勝をかけ23日に日本航空と対戦する。