小山台は4番の“技あり打”が流れを呼び込んだ。1点を追う3回2死二、三塁で森村輝捕手(3年)。2球続けて見逃し、あっという間に追い込まれたが、続く低めの変化球に手を出した。見逃せばボール球だったが、最後は左手1本で中前に落とした。2者をかえし逆転。序盤でひっくり返した。

初回に1点を失っていた先発の木暮瞬哉投手(3年)は「頼りにしてます。早い回で逆転してくれて、切り替えやすかった」と女房役に感謝した。2回以降、0を重ねる間に打線が着実に加点。勝利した。

敵将も脱帽だった。文京・梨本浩司監督(57)は、森村の適時打が勝負の分かれ目だったとし「森村君を追い込んだのに、2ナッシングで拾われました。クレバーだなと。しつこく打たれました。勝負には勝ったのに。悔しいですね。バッテリーは責められません。相手をたたえるしかありません」と打ち明けた。5回には、1死二、三塁でボテボテの遊ゴロを打たれ、三塁走者をかえされた。6回、8回は内野フライ。完璧に打たれた当たりはなくても、着実に打点を稼がれた。

小山台・福嶋正信監督(65)は「森村は当たりはよくなかったけど、よくボールに合わせてくれました。リードできたから、作戦を立てやすかった」と4番の仕事をねぎらった。