<高校野球西東京大会:日大三3-0創価>◇28日◇準々決勝◇スリーボンドスタジアム八王子

チームが認める主将だった。創価の小松凌平捕手(3年)を、チームメートは次のように評価する。

4番打者で打の中心核として活躍。コロナ禍の前は小松とよく「ステーキどん」に行っていた高沢春佑外野手(3年)は「私生活はイジられキャラで、僕もよくイジってます。でも、いざ野球になると、説得力があって、模範となる人間なんです。だから人が付いてくる。主将をするなら、小松しかいないんです」。この日の試合後、小松にも敗戦の悔しさがあったはずだ。しかし、それをみじんにも感じさせない表情で、日大三の選手に声をかけていた。戦った相手を最後までリスペクトする姿から、彼の人間性を感じ取れた。

新チーム結成時からバッテリーを組んできた2年生エース・杉江敏希投手は「何事にも動じなくて、練習でも試合でも、顔色一つ変えないんです。紅白戦で対戦したときは『何考えてるんだこの人』って思いました。地に足が付いてるんです。小松さんの出すサインは信じます。首を振りたくないんです、信頼してるので」。この日も日大三打線相手に、杉江を7回4安打1失点の好投に導いた。頼れる兄貴分相手だったからこそ、杉江も堂々とここまで投げられた。

試合後、取材を受ける「動じない男」・小松は、やはり冷静だった。「負けて悔しい思いは皆あると思います。でも、メンバーには入れなかった同級生や、応援してくれた人たちに対して、最後まで堂々としてないと、申し訳ないと思うので」と落ち着きのある声で、はっきりと話した。しかし、その言葉とは裏腹に、目だけは赤く染まっていた。心の中は、悔しさであふれていたのかもしれない。それでも、最後まで「主将」で在り続けた。そんな小松が引っ張ってくれたからこそ、創価ナインは最後まで戦い抜けたに違いない。【阿部泰斉】