東西東京大会の準決勝、決勝は、高校野球の公式戦では初めて東京ドームで行われる。東京オリンピック(五輪)・パラリンピック開催で、神宮球場が使用できないための措置。プロ野球界に現役21年を含め、40年以上携わってきた田村藤夫氏(61)が、プレー面で屋外球場とは異なる注意点を挙げた。

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高校生が東京ドームで公式戦をすることはほぼないと思う。それが夏の大会の準決勝、決勝という大一番となれば、思わぬミスにもつながりかねない。そうしたことがないよう、プロ野球での経験を踏まえ、戸惑いがちな点を挙げたい。

まず、午後3時半ごろから4時ごろまで、フライが見づらくなることがある。白っぽい天井の色に打球が紛れるためで、外野手は打球を追う時には目を切らず、常に目で追うこと。準決勝の第2試合は午後2時半の開始予定(東東京決勝は午後3時半開始予定)。シートノックで多めにフライを打ってもらい、どんな風に打球が見えるかを何度も確認しておくといい。内野手にも同じことが言える。特に、天気のいい夕方の時間帯は気を付けてほしい。

人工芝は若干長いと思って対応すること。そこにチップが混ざっているため、打球の勢いが死ぬ傾向にある。通常の人工芝では打球は速く転がるが、東京ドームでは人工芝やチップに吸収されることを計算に入れ、より前に出て処理しないと内野安打になる。センター前に抜けそうな打球も、ショート、セカンドはあきらめずに追えば届くこともある。前に出る、あきらめずに追う、これは鉄則として臨んでほしい。

最後に、東京ドームでプロ野球観戦をした選手なら、気圧の変化を感じたと思う。感覚的に違和感はあるだろうが、気にすることはない。空調も効いており、動けば汗が出てくる程度。直射日光がない分、投手はピッチングに専念できる。打球音は金属バットだと野外より余計に反響する。大きな打球音で錯覚を起こしたり、判断を惑わされる可能性がある。

ただでさえ緊張する大舞台が高校生にとっては初体験の東京ドームというのは異例だ。不慣れな環境に臆せず、普段の力を出し切ってほしい。(日刊スポーツ評論家)