名取北が劇勝発進した。昨夏の県4強で昨秋の東北大会に出場した聖和学園に6-4で逆転勝ち。4-4の同点で迎えた9回2死三塁、1番渋谷悠翔投手(3年)が値千金の決勝タイムリー。終盤に勝負強さを発揮して強豪私学を破り、春の県大会初戦突破を果たした。

    ◇    ◇    ◇  

打球が中堅へ抜けていくと渋谷は右の拳を高々と突き上げた。「決めるしかないと思って打席に立ったので、自然とガッツポーズが出ました」。4-4の9回2死三塁。カウント2ボールからの3球目だった。狙っていた真ん中高めの直球をたたいた。ここぞでの勝負強さを発揮し、自らのバットで決勝点をマーク。「甘く入ってきた真っすぐを打とうと思っていた」。6回左前打、8回内野安打と3安打「猛打賞」の固め打ちで、リードオフマンの役割を全うした。

電光石火の「同点劇」が、反撃ムードを押し上げた。1点ビハインドで迎えた最終回。先頭の6番岩渕純大外野手(3年)が中前打で出塁。続く出雲大志外野手(2年)が同点適時二塁打を放った。ともに初球を捉え、わずか2球で試合を振り出しに戻した。8回には2点を奪って1点差。5回から登板した相手エースを攻略した。渋谷は「『積極的に振っていくぞ』と選手同士で言い合ったのが逆転につながった」と納得の笑みを浮かべた。

守りからリズムをつくり攻撃へつなげた。8回1死から死球と安打で一、二塁のピンチを招くも、後続を三ゴロ併殺で追加点を許さなかった。佐藤純二監督(47)は「チームに勢いが出る大きなプレーだったと思います」。

目標は強豪私学の壁を乗り越えた先にある「甲子園出場」。まずは夏の前哨戦の今大会優勝を目指し、シード権獲得を狙う。背番号1をつける渋谷は「投げて打って、粘り勝つ野球をやっていく」。二刀流でチームの支柱を担っていく。【佐藤究】