敦賀気比(福井)が4大会連続11回目の甲子園出場を決めた。

試合終了直後、上加世田(うえかせだ)頼希投手(3年)と渡辺優斗捕手(3年)はそろって崩れ落ちた。6年来のバッテリー。完投エースは「自分達しか分からない苦しさがあった。バッテリーがチームの顔となってここまでできて良かった」と喜んだ。

涙の色を分けたのは3-1の5回だった。1死満塁の場面で、4番の上加世田が適時打で1点を追加。これが追い風となってこの回5得点して突き放すと、直後に迎えた1死満塁のピンチも、2者連続凡退に抑えて流れを取り戻した。

決勝戦は独特な雰囲気がある。春に甲子園の舞台を踏んだエースでも「ほとんどの観客が敵に見えるくらいの迫力」に圧倒された。だが、どんなに苦しくても帽子を取れば盟友からの「最強バッテリー!2人で1つ 優斗より」のメッセージ。「信頼感で言ったら全国トップレベル」と言い切るエースは、仲間を信じて勝ちきった。

今春のセンバツは、部員が新型コロナウイルス感染症に感染して辞退。一時はモチベーションが地に落ちたが、主将を中心に「絶対甲子園」という思いで勝ち上がってきた。夏の最高成績はベスト4。“最強バッテリー”を中心に、北陸勢初の全国制覇に挑む。【竹本穂乃加】

◆敦賀気比 1986年(昭61)創立の私立校。生徒数683人(女子331人)。野球部は創立と同時の創部で部員数は96人。甲子園は春は9度、夏は11度目の出場。主なOBはオリックス吉田正尚、広島西川龍馬、西武内海哲也、平沼翔太、元広島東出輝裕ら。敦賀市沓見164の1。古谷清和校長。