愛工大名電が接戦を制し、連覇へあと1勝に迫った。同点で迎えた8回に藤山航平捕手(3年)が勝ち越し3ラン。中日OB岩瀬仁紀氏の長男で2番手登板した岩瀬法樹投手(3年)が1回無失点と好投するなど3番手エース有馬伽久(がく)投手(3年)ら3継投で4失点でしのぎ、打線の2桁10安打2本塁打の爆発で決勝に駒を進めた。

先制を許したが追いつき、勝ち越したら追いつかれた。4-4で迎えた8回に勝負を決めたのは扇の要、藤山航平捕手(3年)だ。無死一、三塁の好機に愛知啓成4番手、小島伶央投手のストレートを見逃さなかった。8割の力で振り抜いた打球は左翼スタンドへ。右腕でのガッツポーズでダイヤモンドを回った。「ベンチで監督から100%じゃなく80%でヒットを狙えと言われました。これまでで1番の当たり」。最高の結果に笑みがこぼれた。

憧れの先輩を追いかける。昨年ドラフト4位で広島に4位入団した田村俊介外野手(18)。昨季の夏の甲子園メンバーとして投打二刀流で活躍した。中学も同じ明徳義塾中。中学時代からバッテリーを組んだ先輩から「名電でいっしょにやろう」との誘いで愛工大名電に進み、背中を追った。

今年4月に右足甲を骨折。6月中旬までリハビリで戦列を離れた。遅れを取り返すため、誰よりも早く、誰よりも遅くまでバットを振った。「上位打線を打ちたいけど、1番怖い9番打者になりたい」。切れ目のない打線のしんがりが2年連続、夏の甲子園を攻守でけん引する。【伊東大介】