仙台育英(宮城)の初優勝には先輩からの「伝承」が欠かせなかった。昨年度のチームは、同年7月17日の県大会4回戦で仙台商に敗れ、甲子園出場を逃した。失意のどん底にいた当時の3年生に須江航監督(39)は「後輩たちが、もう2度と甲子園に立てないことのないように力を貸してくれ」と相談。指揮官の思いを受け、島貫丞前主将(現日体大1年)らが同31日まで「引退」を先延ばし。「伝承試合」として1、2年生とガチンコ勝負を繰り返した。さらに3年生3人が後輩チームのベンチに入り、アドバイスを送りながら試合を行ったという。

島貫前主将らが後輩たちに強調したのは「野球は相手よりも1点多く取ればいい」という点だ。「野球の得点板の最後は『計』で、英語で書かれる時は『R』(得点)。『RUN』という意味で、走って点を取るスポーツ。それが、須江先生に教えてもらったことです」。仙台育英は決勝までの5試合で本塁打1本。しぶとく単打でつなぎ、足も絡めた攻撃で得点を重ねていった。「(甲子園で)伝承試合で教えたことが発揮できているんじゃないかと思います」。長打はなくてもつないで勝つ。須江監督が植え付けた「スモールベースボール」の浸透が、初優勝へのカギになった。【山田愛斗】

 

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