8月30日、東北高泉キャンパスグラウンドに球児の声が飛び交った。新型コロナウイルスの影響で東北の不戦勝となった夏の宮城県大会3回戦、東北生活文化大高-東北の再試合が、東北高・五十嵐征彦学校長(46)の呼び掛けにより実現。試合は、東北生活文化大高が6-5で勝利。両校ナインの長い夏が幕を閉じた。

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試合は雨が降りしきる中で行われた。だが、両校ナインの表情は晴れやかだった。東北生活文化大高・岩井陽幸主将(3年)は「コロナで始まって、コロナで終わった3年間でしたが、最後の最後に、今まで打てなかった人が打てたり、守れなかった人が守れたりといった成長が見られた。今までの過程を思い出して試合をしていました」。3年間を振り返り、1球1球をかみしめながらプレーした。岩井は「(当時は)あっけなさがあって、終わった実感は全然湧かなかった。公式戦に近い、競った試合が最後にできてよかったです」と満足げな表情で振り返った。

この試合が勇退試合となった東北生活文化大高・水沼武晴前監督(60)は「子どもたちもどこかで引っかかっていたものがあったと思う。『野球を楽しいな』と感じられるような試合を最後にやらせていただけて、本当にありがたい」と東北高に感謝した。泥だらけになって野球を楽しんだ選手たちには「後輩とのいいつながりを見せてもらった。最後に生文らしい良い野球を見せてもらいました。ありがとう」と声をかけ、目頭を熱くした。

東北は3年生25人が出場。レギュラーメンバーはもちろん、これまで出場機会がなかった3年生も奮起し、高校生活最後の試合を楽しんだ。東北の指揮を執った富沢清徳前監督(55)は、「夏の大会はグラウンドに来ることができないで、そのまま終わってしまった選手の方が多かった。最後にこうしてユニホームを着て、試合をして終われる機会をつくってもらえて、すごく良かったです」と目を細めた。【濱本神威】