21世紀枠の氷見(富山)は善戦およばず、甲子園初勝利は夏以降におあずけになった。93年春以来、30年ぶり3度目の甲子園。富山からの応援団が陣取る一塁側アルプス席は濃いブルーが鮮やかだった。
野球部OBも感激の面持ちで応援した。この日の最年長は氷見在住の80歳、田上勝弘さん。「とにかく、あのころは楽しかったです。2年の夏に県の決勝で負けてしまったんですけどね。氷見高は氷見市の野球少年のあこがれでしょう。勝てばみんな盛り上がる。今回はこの少ない人数でよくやりましたよ」と後輩の頑張りに元気をもらった。
前回93年センバツに出場したメンバーもアルプス席に集まった。この代の3年生は14人全員が氷見市出身だった。アルプス席が満員になるほどの大応援団を覚えている。主将だった前康彦さん(47)は「やっと甲子園に連れてきてもらいました。僕らの時よりも技術、体力、メンタルすべて上がっている」と奮闘を見つめる。
氷見市は人口減少が進み、氷見高は市内唯一の高校になった。観戦に訪れた林正之市長(65)は「17人で本当によく頑張ってくれた。地元の子ばかりで、まさに手作りのチーム。市民の皆さんも応援の思いが強い。彼らは地元の小学生に野球を教えてくれたり、学校自体も氷見の地域課題の勉強をしてくれている」と頼もしそうにグラウンドを見つめていた。