京都国際がドラフト候補の杉原望来(みらい)投手(3年)の投打にわたる活躍で、ライバル龍谷大平安をサヨナラで撃破して決勝に進出した。

延長10回、無死一、二塁から始まるタイブレーク。表の守備を無失点で切り抜けた杉原は、その裏、先頭打者で打席へ。バントの気配は一切なし。軽くバットを合わせると打球は中堅の頭上を越えていった。

9番打者は「実はバントのサインでしたけど、平安さん(の内野陣)がものすごいプレスをかけてきたので。ゴロを打とうと思ったら、センターを越えていきました」と笑った。ちなみにチームの決まりごとで、状況を見ての“サイン無視”はOK。ヒーローは胸を張って祝福を受けた。

タイブレークの熱戦に持ち込んだのは投手・杉原だった。4回途中から救援登板すると、このピンチを完璧に抑え。5回以降もゼロ行進。龍谷大平安のエース桑江駿成投手(3年)と互いに譲らなかった。

勝敗を分けたのは延長10回2死一、二塁。U18日本代表候補の山口翔梧内野手(3年)を平凡な二ゴロに打ち取ると、思い切り左こぶしを握った。

龍谷大平安との対戦は特別だった。昨秋の同じ準決勝は14-4のコールド勝ち。だが近畿大会で初戦敗退し、センバツの道が閉ざされた。一方のライバルは近畿大会で4強入りし、センバツへ。杉原は「コールド勝ちしたのに、僕らは甲子園に行けず、平安さんは行った。絶対に倒すぞとみんなで話していました」と並々ならぬ闘争心で臨んでいた。

強いプロ志望を持つ最速143キロ左腕。1学年上でDeNA入りしたOB森下瑠大投手(18)と背格好やフォーム、投球スタイルまでそっくり。森下を見に来たプロのスカウトやファンが、一瞬見間違えるのがお約束で、小牧憲継監督(39)は「影武者ですから」と笑わせた。

「自分たちが京都の絶対的な王者でありたい。春も優勝したいです」。杉原は甲子園4強に輝いた“本家”を超える意気込みだ。【柏原誠】