夏の舞台に、大きな歓声が帰ってきた。新型コロナウイルス対策の規制緩和により4年ぶりに「声出し応援」が復活。吹奏楽の人数制限もなくなる。全国的に「美爆音」で知られる習志野は、昨年まで25回の金賞を受賞している吹奏楽の強豪。今年は部員170人の演奏と声で球場を圧倒し、野球応援の大きな力で選手たちを後押しする。

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ズシンと胸に響く打楽器の音圧に圧倒される。部員170人の音が重なり合い、その旋律が胸の奥底に響き渡った。心おどる演奏に合わせ、部員たちの元気な応援の声に軽快なジャンプ。夏の千葉大会初戦へ向け、練習も熱を帯びてきた。上杉照部長(3年)は「選手の皆さんに、より大きなエールを伝えたい」と目を輝かせた。

腹の底から大きな声を出す部員たちの顔は笑顔にあふれていた。海老沢博顧問(44)は「声は1番の武器。心に訴えるものとしては楽器のレベルではないと思う。声出しができなかった4年間。そのありがたみを感じているでしょう」と、生き生きと練習に励む部員たちに目を移した。

コンクールと違い、部員170人、全員で演奏する貴重な機会。しかも、それがクラスメートのためとなると熱がこもる。「コンクールで立派な演奏をすることも成長につながりますが、応援活動は反応がストレート。勝てばうれしいし、負けると悔しい。こういう感情を味わえるのは、とてもいい経験です」。あたたかく響く心地よい「習高サウンド」をベースに、試合の流れで自然と演奏にも力がこもり重圧感が増す。美爆音は部員たちの「心」そのもの。「最初から、フルでいきますよ!」。4年分の思いを込めた応援を響かせる。

部員たちも特別な思いで臨む。主指揮を務める後藤樹さん(3年)は中学2年時に19年の夏の甲子園をアルプスで応援。初戦の沖縄尚学戦、9回にチャンスで流れた「レッツゴー習志野」が忘れられない。「球場の雰囲気が一気に変わり同点タイムリー。アルプスの一体感がすごかった」。野球応援に憧れ入学し、最後の夏。「校歌の1音目から、目に見えない何か、言葉にできない力がある。今までの思いを開放し全力でやりたい」と力を込めた。

「美爆音」の名に恥じない演奏をする覚悟はできている。上杉部長は「野球部員の背中を押すひとつとして『美爆音』の力がある。応援する気持ちを第一に応援したい」。選手、吹奏楽部の野球応援が一体となり「チーム習志野」で、夏を戦い抜く。【保坂淑子】

◆美爆音 習志野吹奏楽部の迫力ある応援演奏の呼び名。野球部応援に全員参加がモットーで、ただ大きい「爆音」だけでなく、美しい音を奏でる、という思いから、石津谷治法顧問(64)が「美」をつけ、美しい爆音として「美爆音」と呼ばれるようになった。