3季連続甲子園を狙う社と、2年ぶりの甲子園を目指す神戸国際大付がぶつかった準決勝は、延長10回タイブレークの末、社が2-1でサヨナラ勝ちした。
昨夏の決勝と同じカードとなった一戦は、序盤から社がチャンスを作った。初回、相手のミスもあって満塁とすると、5番・西垣琉空(りく)捕手(2年)が中前に先制の適時打。「相手が制球力のある投手だったので、コースに逆らわないスイング軌道ができる西垣を5番にした」という山本巧監督(51)の狙いが的中。先手を取った。
続く2回と3回にも三塁まで走者を進めながら追加点が奪えなかったが「チャンスは作れているので、相手にプレッシャーをかけられいるかなと思っていました」と西垣。5回にスクイズで同点とされながらも、最後まで落ち着いた戦いで、延長タイブレーク10回の勝利につなげた。
社の勝負強さは、個々の選手の高い意識によって培われてきた。その意識が変わるきっかけとなったのは、今年1月、主将の隈翼内野手(3年)がチーム作りに対する考え方を変えたことだ。「新チームになってから、コミュニケーションを取って、1人1人に寄り添うことを考えていたけど、それでは限界があって、上に行けないと感じました」。そこからは、発言や態度を厳しくしたという。「他の選手にとっては、すごい苦しい、厳しいことを言う時もありましたけど、『しっかり付いてこい』とやってきました」と明かす。
ただ、そのチーム改革は順風満帆とはいかなかった。年を越す前までとは雰囲気の違う主将に対し「萎縮するメンバーもいた」と振り返る。苦悩する隈を支えたのは、他の3年生。厳しい発言の後には、フォロー役を決め、全体をまとめるよう力を合わせた。
その成果として徐々にチームは変わったが「春ではまだ途中段階で、うまくいかなかった」と苦しみ、センバツは初戦敗退で終わった。
その後も試行錯誤しながら継続してきたチーム改革は、この夏にようやく実ろうとしている。隈は「イニング間に集まった時に、あまり出ていなかった声が、今は出ている。今日も、僕が目立たないぐらいだった。みんなで高め合っていけるチームになってきたと思います」。この日2得点に絡んだ2年生の西垣も「春までは、周りに付いていくだけだったけど、隈さんから話をされて、自分が引っ張ることを考えるようになりました」と自身とチームの変化と、その充実ぶりを実感する。
「甲子園での悔しさは、甲子園でしか返せないから、勝つしかないんです」。隈を中心に戦える集団に生まれ変わった社が、最低限の目標まであと1勝とした。
決勝は27日に、ほっともっとフィールド神戸で行われる。【永田淳】

