大体大浪商の四田勝康監督(66)には、明確な狙いがあった。4強をかけた一戦で先発マウンドに上がったのは、1年生の高原雅幸投手。今大会初登板だった。

「大阪桐蔭の打線を封じるのはストレートと縦の変化球。そのピッチャーを優先しました。経験を積まそうとか、そういうのはないです」。

強力な大阪桐蔭打線を抑えるには、カーブなど縦に変化がつく球と直球が投げきれるか。白羽の矢を立てた高原から、接戦でつないでいくビジョンだった。

しかし、初回に味方の失策がからんで3失点。思惑通りに進めることはできなかった。選手は6回に2点をかえし最後まで粘ったが、直後に3点を奪われ7回コールド負けとなった。

四田監督にとってこれが最後の夏だった。09年から大体大浪商を率いてきたが、この夏限りで退任することを決めていた。選手は出し切ってくれたかと聞かれると「もちろんです。ラストゲームは100%。彼らの100%を出し切ってくれた」と言い切った。

約3週間前の7日には、ノック中のボールが四田監督の口元を直撃。約9針縫うアクシデントだった。「こいつら最後に“印”残したいんかなと思いました」と、笑って話せるのも選手の頑張りを感じるからこそ。

現役時代は、大体大浪商の選手として甲子園を経験。しかし監督として聖地を踏むことはできなかった。それでも、やりきった思いがある。「50年野球に携われて、野球人として幸せだと思います。17歳、18歳の夏も、60歳の夏も一緒ですね」。歴史ある「NAMISHO」の文字が、胸元で誇らしそうに輝いた。【磯綾乃】

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