<全国高校野球選手権:慶応9-4北陸>◇11日◇2回戦

感謝の思いがこもった放物線だった。9回2死三塁。北陸のエース友広の放った打球は、大声援に包まれて左翼スタンドに吸い込まれた。「狙ってはいなかったです。フルスイングで入ったかなと。最後の打席でこうやって打てたので良かったですけど、チームが負けてしまったので悔しいです。最後やってきたことが実ったのかな」。高校生最後の公式戦打席で本塁打を記録した。

福井大会初戦で右肘を故障した。友広は背番号1を背負って春夏連続の甲子園出場を果たしたが、初戦の先発を2年生の竹田に譲った。4回途中にマウンドに上がって4回3安打2失点。悔しい内容だったが「仲間がいなかったら甲子園に出てないと思うので、チームメートには感謝したいです」と口にした。

アルプスには、誰よりも大きな声でメガホンをたたいて応援した父義昭さん(57)がいた。「あの子が小さい頃から、その夢(甲子園出場)を達成してと言っていた」。友広も「プレーしていて(父の声が)聞こえました。一生懸命応援してくれたので、家に帰って感謝の言葉を伝えたい」。仲間が連れてきてくれた聖地。悔いはない。【中島麗】